熊胆(ユウタン)
熊胆
熊胆とは
熊胆とは熊の胆汁(胆嚢)を乾燥した物です。獣胆を古代より使用することは西域(ギリシア、インド、サラセン)に見られ、唐代に西域の医薬品の使用が伝来したことを想定することができます。熊胆の漢薬製剤中の使用も民間療法的なものが多く、唐・宋代を経て漸次丸薬などの製剤に配合されるようになりました。日本では飛鳥時代から利用されるようになり、江戸時代初期に「クマノイ」として頻繁に使用され、特に配置薬製剤には欠くことのできないものとなりました。
しかし、現在では下記にもある主成分であるウルソデオキシコール酸が合成することができるようになり、日本国内では熊胆を配合する薬は数少なくなりました。
主成分
主成分はタウロ-ウルソデスオキシコール酸で、これをアルカリ分解するとタウリンとウルソデスオキシコール酸(ウルソデオキシコール酸)が得られます。このウルソデオキシコール酸は合成した物もあり、胃腸薬に多数配合されています。
熊胆の効能・効果
熊胆の効果は利胆作用が主で、胆汁酸の肝内濃度上昇と共に胆汁流量が増加します。
また、コレステロール系胆石溶解作用、腸の鎮けい作用、ヒトMT-4細胞におけるHIV-1増殖の抑制なども報告されています。
ワシントン条約
クマはワシントン条約で規制されており、輸出入は制限されています(許可を取れば可能)。
日本国内においては狩猟などで得られた熊胆と輸入された熊胆が流通しています。
日本のクマは個体数を維持しており、種全体としては絶滅するおそれはないと考えられている(環境省 2002)。